電話
ある朝、一人きりの家の中で、電話の呼び出し音が鳴りました。
そして、聞き覚えのない声は、私にとんでもないことを告げたのです。
防御反応だったのかな?瞬時に悪質な悪戯だと思い込んだ私は、少し怒りにも似た声で、
「それ、本当なんですか?」
そう尋ねました。
「嘘だったらどんなにいいかと、私だって思うんです。」
そう話す震える声は、それが真実だと証明するのに十分だった。
あれから何年も経ちますが、私はあの日以来、電話の呼び出し音が少し苦手になりました。
あのとき私には、同じ話を伝えなければならない人がいた。
彼女もまた、電話の呼び出し音が嫌いになってはいやしないかと、たまに思うときがあります。
秋の風に誘われて、急にふと、そんなことを思い出しました。
0コメント