名前
私は子どものころ、「ひろみ」という自分の名前があまり好きではなかった。
男の人にもある名前だったから、もっと女の子らしい名前が良かったとずっと思っていた。
それにくわえて旧姓がとても変わっていて、友達からは名字で呼ばれることが多かったから、名前に対する愛着がますます遠のいていくような学生時代を過ごす。
自分の名前を意識するようになったのはやっぱり、大好きな人が初めて名前を呼んでくれたときだったと思う。名前を呼ばれるたびに、自分の名前がどんどん好きになっていったような気がする。
単純だと我ながら笑っちゃうけど。
オーストラリアに旅に出たのを機に、自己紹介では名前を言うことが多くなり、今は名前を呼ばれることが多い。
私は時を経て、どんどん、「ひろみ」という名前に近づいていったのだと思う。
今はまぎれもなく、私は「ひろみ」だと思っている。(←当たり前だし始めからそうです)
結婚をすると、「奥さん」なんて呼ばれ方も多くなるけれど、きちんと名前を尋ねてくださる方もいて。
やっぱり名前を尋ねられるとうれしいものです。
そうそう。
名前が漢字ではなくて平仮名であったことも、今となってはすごく気に入っているところだったりする。
母が、
平仮名にこだわって決めたのだと聞いたことがあります。
角田さんのPresentsという短編集が好きだと、以前書いたことがある。
この本は、人が生まれてから最後を迎えるまでにもらう、いろいろなプレゼントにまつわるエピソードが描かれていて、読んでいると私はとても幸せな気持ちになるんです。
一番最初の話が、「名前」というタイトルのお話。
とても好きな話です。
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