シニアクラス最後の1年
先日夫のもとに、「ALL JAPAN SURFING GRAND CHANPION GAMES」の出場権獲得の知らせが届いた。
その1通の封書は、夫にとってはもちろんだけれど、私にとっても、とても感慨深いものだった。
結婚をして1年後にサーフショップを開業。
その後ウェットスーツブランドも立ち上げ、夫はとても忙しい日々を過ごしていた。
その数年間に私は二人の息子を生んだので、お店の手伝いもままならない日々があった。
忙しい日々に、夫は海からどんどん遠ざかっていく。
「何はさておきサーフィン」
少しくらいそう思ってくれてもいいのにってずっと思っていたけれど、夫はそれができない不器用な性格。見ている方が辛かった。
(見かねて夫の先輩に相談したこともあった。相談された方も困るよね(笑))
ずっとサーフィン一筋で生きてきて、コンテストでも成績を残してきた夫のアスリートとしての道は、どんどん絶たれて行くように思えた。そんな最中作った店のホームページの夫のプロフィール欄に、私は当時、
「ただ今コンテスト復帰に向けて調整中」
いつか復帰して欲しいという願いを込めて、そう追記していた。
そして5年ほど前から、ついに夫はコンテストに復帰。
なかなか成果を上げられずにいたけれど、全日本サーフィン選手権の支部予選では、必ず宮崎の代表権を獲得してきた。
かつてもそうしてきたように、何度も何度も悔しい思いを経験しながらコンテストに出場し続けたここ数年。そして今年初めて、ランキング上位者が出場できる「ALL JAPAN SURFING GRAND CHANPION GAMES」の出場権を、ようやく獲得することができた。
1通の封書を、私はまじまじと見つめた。
夫のサーフィンへの情熱がひとつの形になった気がした。
(この情熱がまた、ぱっと見分かりづらい人なので(笑)、形になるのはうれしい。ホントうれしい。)
だけど、結論から言うと、夫は今回のこのコンテストはキャンセルしてしまったのでした。
うちは他のサーフショップとは少し違って、製造をしている関係で、1年で一番忙しいのが10月から12月。どうしてもこの時期は空けられない。との判断だったよう。
それでも何度か、「せっかくのチャンスなんだから」と言ってみたけれど、もう決めているみたいだった。
すごく残念。
でも、本人はもっと残念なのだから何も言えない。
アスリートとして、それはある意味ダメな部分なのかもしれないけれど、夫はそんな人だ。
ロマンとか夢とか、そんなことをお手軽に考えてしまう私とは違って、いつも現実を生きている。
つまらない人に映るかもしれないけれど、決して夢やロマンが無いわけではなく、つねに準備を積み重ね、備えていることを私は知っている。
今年夫は、全日本のクラスで言うとシニアクラス最後の年だった。
35歳から44歳という年齢幅の44歳だったわけだから、とても苦しい戦いだったはず。
にも関わらず、ここ数年で一番調子が良かった。
理由を考えたときにやっぱり、息子が同じ舞台で戦い始めたことが大きいのではないかと思う。
同じアスリートの道に足を踏み入れた息子。
夫の情熱に火をつけたのは、間違いなく息子の存在だと思う。
夫はそんな人だ。
いつか、そんな夫の内に秘める情熱が、なにかの形に残りますようにと願ってる。
今年のNSAの大会は、ずっとセミファイナルあたりまで食い込んでいただけに、全日本の敗退はとても悔しかった。
そしてシニアクラス最後のコンテストとなったアマチュアオープンでは、準優勝。
なかなか手に入らない「優勝」の難しさ、すばらしさを、ことさら感じた1年となった。
内に秘める情熱を、来年のマスタークラスに持ち越す。
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