少しだけ悲しいこと
少しだけ悲しいことがある。
少しだけ悲しいことは、心に藍を一滴落とすみたいな悲しみで、日を追うごとにじんわりと広がっていく。
自分の中で解決しなくてはならない、形のはっきりとしない(でも何が悲しいのかははっいりと分かっている)、悲しみ。
失くしてしまったのかなあと思う。
だけどもそれは、どうしようもないことだ。
少しだけ悲しい気持ちがじんわりと心にあったので、息子の空手のお迎えは中には入らずに、車の中で待った。
好きな曲を聴きながら、あることを思い出していた。多分ずっと忘れないであろう記憶。
夜へと染まって行く空を眺めていたら、光を放つ虫がスーッと目の前を通り過ぎた。
うそ?蛍??
結局それが蛍だったのかは分からないけれど、私の目の前に現れたその小さな光になんだか泣き出しそうな気持ちになる。
少しだけだけ悲しいことは、本当は私にとってうんと悲しいことだ。
泣き出しそうな気持ちになったけれど、涙は出なかった。子どものように泣いてしまえれば、うんと楽なのだろうけれど、涙は出ない。
いつまでも甘ったれたことを言っているわけにもいかないし、そう言うのは好きではないから、「ヨシ!」と心に蓋をする。
いつもの私に戻ったところで、息子たちが元気よく車に乗り込んできた。
幸せなのかと聞かれれば、もちろん幸せ。
背筋を伸ばして前を見て歩いていく。
女心と秋の空
男の心が海のように広いとすれば(狭い人もいるかもだけど(笑))、女の心は海のように深いのだ。
0コメント