1%にも満たない嫉妬
最近少しずつ、ここ10年ほどの間に観ることができなかった映画いろいろを、たまに観ています。
先日は「紙の月」を観ました。
大好きな作家。角田光代さんが原作なので思わずチョイス。
普通に見える大人しそうな主婦が、パート先の銀行で横領を重ねていく話。
「お金を介してでしか愛せない女性」というものを描いたのだそう。
私とは同世代の宮沢りえさんが何せ美しく、ハマリ役だったな。
主人公の、全くもって理解できない歪んだ愛。
なのに、どこかでほんの少し、1%にも満たないほどほんの少しだけ、狂い通せる彼女に嫉妬に似た感情が芽生える。
追い詰められた主人公が最後に取った行動が、気味が悪いくらい爽やかに映し出されていた。
それはまるで、1%にも満たないわずかな嫉妬心を見透かされているみたいに。
狂っている主人公は、
恐ろしいほどに美しかった。
角田さんの描く、狂った女性の描写が好きで、少し前にひっそりとやっていたブログでも書いたことがあったので、備忘録までにここに貼っておくことにする。
女性と言うのは、何かの拍子に、簡単にタガが外れてしまう生き物なのかもしれない。
いやいやそれは違う。と思いながら、今書いておりますけども(笑)。
以下は、別ブログの過去の記事です。
狂気の心理描写
今日のテレビで八日目の蝉をやると言っていたので。
ある男と不倫をしていた女性希和子が、本妻が生んだ娘 恵理菜(赤ちゃん)を誘拐、転々と逃亡して行く様子と、
恵里菜が大人になり、現在を生きているシーンが交互に描かれている作品。
私は角田光代さんのファンで、原作も、映画もどちらも観た。
映画は、短い限られた時間に、原作のニュアンスが上手くまとめられているなあと言う印象であった。
他人の娘を誘拐し、逃亡を謀る間に芽生える歪んでいるのだけれどまっすぐな愛。
それはつまりは狂気なのだろうけれど、そう言った心理描写はやはり原作を読むに限る。
私はついついその狂気に引き込まれ、共感とも、同情ともつかない気持ちになった。
暗いトーンの中にも、わずかに射す光のようなものも感じて、こう言うところがファンである所以なんです。
で狂気の心理描写の事を考えていたら、随分と前に読んだある小説を思い出した。
これはあらすじを話すと台無しになってしまうので割愛するけれど、
ある男について、客観的な視点ではなく、男の主観的な描写で描かれてある。
最初は差し当たって面白いとも思わない、ただの純愛の話だと思って読んでいたのだが、 読み進むにつれて、息もつかぬほど物語に引き込まれる。
狂気の心理描写
前者は悲しく、後者は恐ろしい。
こう言う描写は普通なかなかできない。
作家さんてすごい。
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