親子の目標
プレッシャーには弱くないはずの望未もまた、いつもとは違うその重圧を、ともに感じていたのかもしれない。
昨年は、チャレンジの気持ちで挑んだ支部予選だった。
気持ちもいくぶんかは楽だったし、結果は繰り上がりでの出場権獲得。
でも今年は、絶対に全日本に行くと決めていた戦いだった。
昨年と比べると成長もして、全国区のレベルにどこまで食い込んでいけるのか?試してみたかった。
1年間全日本に向けて練習を積んできたことが、本選を前に閉ざされてしまう。
支部予選には、そういった思いを目の当たりにする選手たちが大勢いる場でもある。
会場を見渡すと、いろいろな悲喜こもごもが交差する。
何とも言えない気持ちになる。
息子のことで思うこと。
それは、挫折なしで成長することはきっとないのだということ。
転ぶことを避けてはとおれない。
いつだって勝ってほしいし、スムーズにステップアップして欲しい。
だけど、どこかで悔しい思いはするのだし、それこそがバネになるのだと思う。
「ゴールはここではないのだから」
同じようにトップを目指す息子さんをサポートしているお母さんから、そんな言葉をいただいた。
同じ立場だからこそ分かってもらえるその気持ちや言葉が、胸にグッとくる。
全日本への切符をせっかく手にした夫だったのだが、結局今回は辞退することにしたようだ。
この1年、親子で全日本に行くことを目標にしていたのだと思う。
ひょっとしたら、コンペティターとしての自分自身ではなく、コンペティターの父としての比重が高くなっているのかもしれない。
まあその辺りは、まだここで断言するべきではなく、話はまだ、締めくくりにはならない。
母として、妻として、彼らの戦いを見つめていく日々が、まだまだ続くのである。
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