愛おしい
あれは長男坊が1歳を迎えようとするころだったか?
洗い物か何かをしていたら、
「たーたーん!」
リビングから長男坊がそう呼ぶような声がした。
「え?もしかして今「かーさん」って言った??」
(我が家にはママと呼ぶ文化はありませんでした(笑))
始めて聞いた「かーさん」の言葉にびっくりして、あわてて駆け寄ったら、
「ん?なーに。ボク何も言ってないよー。」
とおどけているみたいな、もしくはちょっぴり得意げに見えるような、そんな何とも言えない笑みを浮かべながら、ちょこんと座っていた。
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目的や目標がはっきりとしている次男坊に対して、
長男坊は、なんだかじわーっとのんびりしているところがあって、それはそれでたまらなく愛おしい部分。
ただ中学生にもなると、数年後には高校受験というものがあったり、あっという間に将来を具体的に思い描かねばいけない年齢に差し掛かるわけで。
(そもそもこの枠に当てはめることも、「本当はどうなのか?」分からないところではあるけど、一般的な?そんな流れというものはやっぱり多少気にかかる)
「そろそろ本腰入れて、いろいろなことを考えていかなくてはいけないし、勉強も少し本気を出してがんばっていかなくちゃだよ」
そんな風な話もよく言って聞かせたりはするのだけど、当の本人はちょっぴりぽかーんとしている。
もしくはそのように見えるのだった。
実際は考えているのかもしれないし、思った以上に考えていないのかもしれない。
そんな掴みどころのない感じに、私だけが勝手に焦って空回りしている感がある今日このごろなのでした(ってこれ、先日書いた夫に対してと同じ感じになってますね(笑))。
そんな長男坊、昨日は暇だったのか、「ちょっと釣りに行ってくる」と出かけて行った。
途中心配で様子を見に行くと、ひとり黙々と釣っていて、私に気づくとなんとも言えない笑みを浮かべた。
この表情がたまらない。
「たーたん!」そう発したときと同じ笑顔。
「4匹釣れたよ」
そう言って見せてくれたのは、割と大きいサイズのシタビラメだった。
大喜びをしている様子はなくても、きっと黙々とうれしそうに釣っていたのだろうなあと想像するだけで、幸せいっぱいの気持ちになる。
「これ、晩ご飯にしようか?」
そう言うと、
「いいねー」
そう言って手際よく後片付けを始めた。
実は長男坊、小学生のころから釣った魚を自分で捌くことができる。
「お母さん魚さばくのは苦手なんだよね~」とこぼしたら、祖父母から教わって、すぐに覚えてしまったのだ。
本当にすごいと思うし、私の母としてなんとダメなことかと思うところでもあり、、、。
今回も手際よく、お料理をするばかりの状態にしてくれた。
頼もしい。頼もしいよお兄ちゃん(涙)。(←ダメ母)
ムニエルにしたシタビラメを、おいしく家族でいただいた。
「ハー君おいしいね」
そう声かけると満足気な表情。
よく見ると、いつの間にか魚をすごくきれいに食べられるようになっている。
この子はきっと大丈夫なのではないか。
おもむろにそんな風な感情が湧いてくる。
子どもは親の言うとおりにはならないし、言うとおりにする必要もないのかもしれない。
次男坊は次男坊の、長男坊は長男坊の、生き方がきっとある。
口出しは多分してしまうけれど(性格上(笑))、決めるのは本人だということを心のどこかで心得ておかねばと思う。
これは釣りの帰り道。
自転車をこぐ後ろ姿のなんと愛おしいことかと、思わず写真を撮った。
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